Kinoptik Paris Fulgior 50mm f1.3

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


・製造メーカー : キノプティック
・製造番号 : 16205
・設計者 : (元設計)Georges Grosset、 (改良)Edgar Hugues (いずれも推定)
・製造年 : 1953年ころ
・レンズ構成 : 4群6枚ダブルガウス型
・重量 : 527g
・最小絞り値 : f11
・絞り枚数 : 16枚
・最短撮影距離 : ?3ft
・マウント : CameflexマウントをライカMマウントに改造6

Lens Impression

 Fulgiorの設計時期、設計者は明確ではないが、Kinoptik社設立後かなり初期段階から作られ始めた可能性が高い。その根拠となるのが、製造番号である。今回のレンズは16000番台であり、戦後のものと考えられるが、過去市場で販売されたものには3ケタ(900番台)というものも存在する。その個体は外観も真鍮に黒塗りで1930年代に作られた他のヴィンテージレンズにも共通することから、1930年代後半に製造されたと考えられるのだ。1930年代にダブルガウス型のf1.3レンズが実際に作られたとすると、もしかすると世界初かもしれない。
その場合、設計者はGeorges Grossetだと推定される。そして戦後入社したEdgar Huguesが改良を加え、Cameflexなどのムービーカメラなどに提供したと考えるのが妥当ではないだろうか。

 今回掲載したFulgiorレンズは製造番号16205で戦後の1953年頃の製造と思われるが、Fulgiorには製造番号900番台という初期レンズも複数本確認されている。先日製造番号935番というおそらく同社創立直後の1930年代に作られたレンズとの遭遇があったので、簡易的に比較をしてみた。
 外見は大きく異なる。左のNo.16205はCameflex用で映画撮影仕様となっている。そのためフード部分が非常に大きく、またピント調節用のレバーが付属している。右のNo.935が当初何の機材に使われたものなのかは定かではない。ただし、中のレンズ部分の比較では、両レンズは同一のサイズであった。
 描写を比較してみると、両レンズのガラス面の反射についてLEDライトを照射して確認した限りでは、コーティングの違い(No.935はノンコーティング)、 経年変化の差などは感じられたが、反射面数、反射の大きさ、光源を動かした時の反射の動きなどに関して「全く差はない」と判断された。
 さらに同一画像の描写比較では、口径食の表れ方にわずかに差があるようだが、全体的には「同じ描写である」と判断できると思われる。

 4群6枚のダブルガウス型にこだわって様々なレンズを製作してきたKinoptik社ではあるが、基本設計を変更せずに、戦前、戦後とf1.3大口径レンズを作り続けてきたことには少なからず驚いた。

Photos with Fulgior 50mm f1.3

2021
Yanaka
(谷中)

いつものカメラ散策コースの谷中です。
今回は萩の季節でしたので、かき氷のひみつ堂さんのすぐ近くにある宗林寺さんにお邪魔しました。
Fulgiorの開放でのボケの具合とかがよく分かると思います。

2021
Tokyo Geijutsu Univ.
(東京藝術大学美術館)

東京芸術大学美術館で行われていた「弥勒展」では、敦煌の石窟が見事に再現されているなどとても興味深いものでした。遠い未来に出現するとされる弥勒仏がどのように人々の心の中に築かれていったのかなどの歴史的解説もとてもわかりやすかったです。

2021
Akiya, Hayama
(秋谷、葉山)

葉山の南にある秋谷地区は喧騒とは程遠い環境で、近くの不動尊には江戸時代からたたずむ異形の仏様が静かに鎮座されています。小さな社のすぐ裏には滝行を行う高さ10mくらいの滝が落ちていて、草と木々に覆われ崖に囲まれるその場所が、海からほんの300mくらいしか離れていないとはにわかには信じられません。

家のすぐ近くにある「KURAKURA storehouse」さんは古民家の中に所狭しと創作陶器が展示してある大変お洒落なお店で、白を基調とした作品にいつも癒されています。

2021
Ebisu
(恵比寿ガーデンヒルズ)

真冬の野外での撮影はなかなか大変ですが、街のいたるところで煌びやかなイルミネーションが輝いているので、レンズの開放描写をチェックするにはとても向いています。ただ、点光源を撮影すると、通常のスナップ撮影などと比べて徒に収差が強調されてしまうので、そのあたりは注意が必要です。
それにしても絞り開放では見事な収差ですね。

 
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